フィンランドアアルトをめぐる旅、アアルト自邸1・旧アトリエ

16年前にフィンランドに訪れた時には
こちらは公開していなかったのではないかな?
ヘルシンキ郊外にある、アアルトの自邸です。
実は、この近くにある
アアルトのアトリエには16年前に行ったのですが
時間外で見学できませんでした。
情報が得られなかった頃だったので
とても残念だったことを思い出しながら訪れました。

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今はアアルトは日本人にすごく人気らしく
日本人の一般の見学者(建築関係ではない方)がとても多いそうです。
入口のボードにも日本語で案内が書かれていました。
ヴィラマイレアや、コエタロが予約制なこともあり
こちらも予約制と思ってメールを入れたら
「予約は不要なので、時間にお越しください」
と丁寧なお返事のメールが届きました。
なので、ここはヘルシンキに訪れた方が、気軽にアアルトの住空間を感じられる素晴らしい場所です。
少し早く着いたので、アアルトのアトリエまで散歩。
16年前歩いた道、覚えてましたよ。
結局スケジュールの都合上、アトリエの見学には行きませんでした。
というのも、また、ヘルシンキに来る理由を残しておきたかったから。
このアアルト自邸に戻ってきたら
私の見学の時間は他に人がいなくて
私一人で見学!!
ガイドさん独占です。
(もちろん写真にも他の人が写りません!!)
アアルトの自邸といえば
アアルトらしい、レベル差による空間分けをしている、アトリエ(旧アトリエ)
アアルトのプライベートスペース側から
デスクを見ているところです。

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上の写真を撮っている場所がこちら↓
奥がアアルトのプライベートスペースです。
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ヴィラマイレアの時も書きましたが
空間の境界を、素材で変えています。
また、レベル差を設けることで
一体の空間を別空間に分けています。
これが、私がアアルトの空間の中で一番魅力を感じている要素です。
正直、すごく影響を受けているな、と感じます。
特にこの階段による空間分けは
暖炉の高さ、という機能も併せ持つレベル差。
理由のないデザインは無い。
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アアルトのデスクは、日差しが心地良い窓際。
この景色、この空間だからこそ
「自然」と向き合う素晴らしいデザインが生まれるのでしょう。
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模型や図面。
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アアルトのデスク側から見たアトリエ。
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リビングとの間にも「段差」による空間の意味分けをしています。
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こちらは、アトリエから庭へ出るドア。
ここも素材とレベル、そして細い柱で空間の意味分けをしています。
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暖炉の前にソファ。
ソファの置かれるラインで床の素材が分けられています。 
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高い窓から日差しが入り、森の緑が見える。
空間が平坦でないことから
見える場所への「移動」と「その先へのワクワクする気持ち」 を持たせること
そして、段差によって囲まれる空間ができることから
居心地の良い場所ができること
これは私が初めてアアルトの建築を感じて感動した
ロヴァニエミの図書館と共通することだなと思います。
住宅という小さなスケールで、
言い換えると、人間に一番なじむスケールで
このデザインを感じられたことが嬉しかったです。
また、空間のメリハリがおもしろい。
アアルトの自邸、というと、このアトリエ空間の
高い天井、緑が見える窓、というイメージがありますが
それ以外の部屋の天井は意外と低い。
そういえば、今回見た建物で共通して感じたことかもしれません。
天井が高い場所と、低い場所のメリハリ。
これは私もデザインする中で常に心がけていること。
アアルト自邸のリビングなど、他の空間は次に紹介します。