自分が設計者に向いていないと感じる瞬間~仕事の悩み

子ども部屋

住宅設計の仕事をはじめてからもう少しで20年。
大好きな仕事だけれども、実は多くの時間「私この仕事向いてないなあ・・・」と思っています。

なぜなら、すぐに自信をなくすから。
そして、すぐに落ち込むから。

周りの人には強そうとか、落ち着いているとか言われますが、心はそんなことありません。
すぐに落ち込んで、弱音を吐きます(笑)
でもそうやって落ち込んでいる時に気づいたことがありました。

みゆう

建築士事務所を営み、住まいの設計をしている女性一級建築士「みゆう」が書いています! 自身の母親としての悩みと経験を活かして、子育て中のパパママの家事・育児負担を減らす家をデザインしています!

自信がないから慎重になる

「デザインには自信がある」というように思えるようになってきたのですが、それでもいつもいつも「これが正解なのだろうか」と悩んでいます。

建築主が気になることを事前に把握できなかったときや、見落としがあったときに「あああ、自分はダメな設計者だ!!」とすぐに思います。
でも、ふと思ったのです。
建築主が納得のいく家にするためには、「ここまでで良いかな」とデザインに妥協することは無い。
それは自身の無さが、納得の行く家づくりに繋がるのではないか、と。

デザインに正解なんてない

そもそもデザインに正解なんてものはなく、それを正解と判断するのはその家に暮らすご家族。「普通ではやらない」デザインも、その家族にとっては大事なものかもしれません。

そうなんです。答えの無いものに対して、答えを探すようなものなのです。

だから建築主が「これが一番良い答えだ!」と思う瞬間まで突き詰めたいのです。
そこまで踏み込んだ家づくりをすると、時間もかかるし根気も必要です。
でも「いえづくりってこういうもの」と決めつけたくない。

せっかくみゆう設計室に依頼してくれるのだから、私の設計を押し付けるのではなく、その家族にとっての家を作ってほしい。

その「最善解」を見つける過程に、私は毎回落ち込み、自信を無くし、「向いてないなあ」と思うのですね。
設計の過程は大半がこの「最善解を探す期間」ですから。

納得いく家づくりにはとても大事な「モヤモヤ」

自信がないことは、設計に役立っているのかもしれない。

デザインでモヤモヤする部分があると、その点をスッキリさせないと不安なのです。
心がざわざわしたりモヤモヤしたりすると、放っておけません。

自覚しながらも、結局気持ちが浮き沈みするのですが(笑)
でもその不安やモヤモヤって家づくりに本当に大事なのですよね。

それを抱えたまま暮らし始めると、毎日毎日「モヤモヤ」が拡大していきますから。
そうやって住まいに悩んでいる人はたくさんいるのです。

思いつくことや不安に思うことは何でも言ってください、と建築主に伝えます。
できるだけ早くに不安の芽を摘んだ方が良いのです。

うまく行っているときこそ、慎重に。

そんな設計ばかりしているので、不安はいつもたくさん抱えていますが、モヤモヤを全て払拭してつくった家に建築主の皆さんはとても満足してくれているようです。

今日もお客さまの暮らしやすさを感じ、笑顔を受け取ってきました。

過ごしやすくリノベーション

自分らしい家を作るためには大事な過程の「モヤモヤ」と私の気分の浮き沈み。
そんなに落ち込むことがあっても「みゆうさんに設計してもらって本当によかった」という笑顔を見ると全てが吹き飛んでしまうのです。

うまくいっている時ほど慎重に。
順調に内容が決まっているときに、見落としやミスはあるもの。

それくらいの気持ちでいるから、良いのかもしれない。
設計をする時気持ちの浮き沈みはあるけれど、それで良いんだ、と改めて感じたので、今日はここに記すことにしました。