マニュアル通りの家が暮らしやすいとは限らない~暮らしやすい家をつくる方法

過ごしやすくリノベーション

先日リノベーション工事のお引渡しを済ませました。

立地も環境も間取りも良い住まいでしたが、建売住宅だったため何となく暮らしにくく、自分たちの家という実感や愛着を持てなかったそうです。

大きく間取りは変えないリノベーションでしたが「家族の暮らし」を整え、快適さと居場所を作りました。

みゆう

建築士事務所を営み、住まいの設計をしている女性一級建築士「みゆう」が書いています! 自身の母親としての悩みと経験を活かして、子育て中のパパママの家事・育児負担を減らす家をデザインしています!

家づくりのマニュアルより大切なもの

そんなこんなで、久しぶりのブログ更新です。
実は、みゆうさんのブログをいつも楽しみにしているのですが最近更新ないですね、というご指摘を頂きました(笑)

幸いなことに住宅設計の仕事を忙しくしております。
少しずつブログも再開していきますね。

引渡しを済ませたお住まいでも言われていた「何となく暮らしにくい」。
なぜ「何となく暮らしにくい」と思うのか。そしてどうやったら暮らしやすくなるのか。

今回は、暮らしやすい家をつくるために「家づくりのマニュアルより大切なもの」とは何なのかを書きたいと思います。

「何となく暮らしにくい」のはなぜか

インテリア相談訪問や、SNSで住まい相談を受けると「何となく暮らしにくい」という悩みをよく伺います。
この「何となく」が曲者です。
暮らしにくい理由が依頼主には分からないからです。

そもそも、なぜ暮らしにくいのか。
それも「何となく」暮らしにくいのか。

少しお話してみると「確かに!!」と気づく方もいます。
それはインテリア雑誌や住まいの情報誌、インターネットの情報などの住まいの事例、マニュアルを元に「家ってこういうもの」と自分自身で決めつけてしまっているからなのです。

マニュアル通りの家が暮らしやすいわけではない。

マニュアルのような暮らし方のイメージとは具体的に、家にはソファを置くリビングと食卓を置くダイニングがある、というイメージ。
小学校入学前に子ども部屋を作らないといけない、というイメージなどです。

先日伺ったインテリア相談では、早く自立して一人で眠れるようになってほしいので小学校に入学するときには子ども部屋を用意したい。今うまく使えていない洋室をどう使い分けたら良いかというご相談がありました。
でもその前にお子さんのことを「あまり一人では遊ばない、親が見ている場所でないと落ち着かないみたいです」と言われていたのです。

それなら、ダイニング横の和室を子ども部屋のような使い方にしたらどうですか?少しずつ慣れたら洋室を子ども部屋に変えても良いですし、その過程をお子さんと一緒に作るのはいかがでしょうか?

とお話したところ、とても驚かれていました。

子ども部屋

 

意外と見落としていること~自分たちの暮らしとは

そのお母さんが自分自身に驚いたのは、「一人で過ごすのが苦手だ」というお子さんの性格をよく分かっているのにも関わらず、リビングダイニングから離れた洋室を子ども部屋にするべきだと思っていたことに気づいたからです。
なぜ気づかなかったのか。

それは、子ども部屋は個室に設けるもの、洋室に設けるもの、ベッドや学習机を設けるもの、と思い込んでいるからなのです。

確かに雑誌やインターネットで見る子ども部屋は洋室の個室がほとんど。
小学校に入学する前に家具をそろえる情報が多く見られます。

もちろん一般的な暮らし方のスタイルでもOKなのですが、それよりも大事なのはお子さん自身が過ごしやすく学びやすく、一人で眠れる環境をつくること、だと思うのです。

暮らしやすさの答えは、自分の中にしかない。

インテリア雑誌やインターネットの住まい情報をたくさん集めることはインテリアの好みや片付け方の好みを知るのには役に立ちます。
それは間違いありません。
ただ「暮らしやすさ」を作るためには部屋は〇畳の広さが必要、とか、片付けのためにはクローゼットが必要、というような情報よりも大事なものがあります。

どんな収納が片付けやすいのか、どんな空間で落ち着くのか。

片付けの癖や、家族それぞれの性格など、自分たちの中に「暮らしやすさ」の答えがあるのです。

とても身近なところに「暮らしやすさ」の答えはあるのですが、意外と見逃しがちなのですよね。
そんな「暮らしやすさ」を一緒に探すことから設計を始めています。

だからこそ、完成した住まいが暮らしやすくなるのです。

「暮らしやすさの答えは、自分の中にしかない。」

一度、じっくり家族と話し合うことで、その暮らしやすさが見つかるかもしれませんよ。

その暮らしやすさがうまく引き出せない、という方はぜひみゆう設計室にご相談くださいね。