ルームシェアをして良かったこと

私は学生の頃から合わせて5回以上の引越しをしているのですが、荷物の梱包をしていると今までの引越しのこと、今までの住まいのことを思い出します。
私は学生の頃の一時期、女友達と一軒家を借りてルームシェアしていたことがあります。
それは、建築を学ぶ学生としても、一人の人間としても、とてもとても良い経験をできたと、今でもその相方に感謝しています。

今回は「ルームシェアをして良かったこと」について書こうと思います。

ルームシェアをする上で細かく「ルール」決めをした

長年一緒に暮らしてきた「家族」の中には、たくさんの「自然なルール」があります。
それはとても「小さなルール」で、普通の友達だったらそんな「ルール」を持っていることに全く気付かないと思います。
でも、共に生活をすると、その「小さなルール」ばかり気になってしまうものなのです。
例えば、「テレビの音量」、「トイレットペーパーの使用量」、「風呂の使い方」、「洗い物の仕方」などなど・・・。
私たちは同居をすることで仲が悪くなるのが嫌だったので、同居を始める前にたくさんの「ルール」を決めました。
その「ルール」を引越しの前に二人で話し合ったことを、とても懐かしく思います。

ルームシェアの一番の長所は「生活費が下がること」

まず、ルームシェアに踏み切ったのは、大学から大学院に進学するにあたり「家賃」や「光熱費」を下げたかったこと、さらに当時住んでいた家の更新の時期にきていたことがきっかけでした。

一番最初にルームシェアの長所と思うものは「生活費が下がること」でしょう。

水道代、電気代などの「基本料金」を分けることができるので、光熱費もだいぶ下げる事ができたと思います。

ルームシェアをして実際に良かったのは「安心感」

実際にルームシェアして良かった事は「安心感」だったと思います。

一人暮らしをしている人は分かると思いますが、やはりワンルームの部屋に一人で帰ることが寂しく感じる事があります。

私と同居人は生活リズムも異なり、家で顔を合わせることはあまりなかったのですが、家の中に相手の生活の気配があることで、暮らしの不安がなくなりました。

「風邪でダウンしたとき」は本当にルームシェアして良かったな~と感じたものです。

あとは「ゴミ出し、掃除などの分担ができること」や「時間が合えば食事を一緒にしたりすること」、相手に気を遣うので「家をキレイにしておける」こと、そして長期で旅行をしたり、実家に行ったりするときに「家が留守にならないこと」などが主な長所でしょうか?

相手のプライベートの所に踏み込まないことも大事

相手のプライベートの所に踏み込まない、というのが前提だったので、暮らし方は一人暮らしとほとんど変わりませんでした。

「同居時代」には嫌な事もあったのかもしれませんが、今考えると、みな良い思い出になっています。

あくまでも、これは私と私の同居人のルームシェアの形であって、同居人と住み方のルールを決める事には細心の注意が必要であると思います。

同居人との「干渉しない関係」

その時に住んでいた家は、ルームシェア(シェアハウス)というより「同居」の方が似合う感じの家でしたね。

というのも、その家は2階に4畳と4畳半の部屋、1階にテーブルを置けるくらいの台所と、6畳の和室、他風呂、トイレ、などという小さな一戸建てだったからです。

友人と私は2階の部屋をそれぞれ一部屋ずつ使い、他に一定期間住みたいと言った別の友人は1階の部屋を使いました。

当時の同居した友人との関係は「家族であり、家族でない」
でも、家族よりずっと「自然な関係」だったような気がします。
今は、「家族」4人で暮らしていますが、実は以前の同居人の彼女との暮らしより、今の暮らしの方が難しい気がします。

というのも、私たちの家族は、家計を一つとし、子供の成長を支え、家族として共に過ごしていく「努力」が多少なりとも必要だからです。
ですから、お互いのことに「干渉し合う」必要があると私は思っています。
お互いを分かったフリをしていると、勘違いも増えてきますしね。

でも、同居していた友人とは「干渉しない関係」でした。
相手が必要としたり、不快に感じたりするとき以外はあまり関わらず、偶然食事の時間が一緒だったりするときに話したりする関係でした。

「他者と共有する空間」を持てる住まい

今でもあの家での生活はすごく印象に残っています。
先日他社の設計サポートでワンルームマンションの設計をしましたが、ワンルームマンションのレイアウトを見ると、なんとなく「一人の空間」からいきなり「外部」につながる扉の寂しさを感じます。

「個」から「外部」に出るまでの間の「緩衝部分」を見直すことが今の世の中には必要だと私は思っています。

「他者と共有する空間」を持ち、人と関わる事をもっと楽しむ事で怖い犯罪も減るような気がするんですけどね。

「他者と共有する空間」を持つと、その空間に対して管理をしないといけないので
確かに「手間と時間」は必要になりますが、自分にとっての「安心する空間」は増えると思います。

ルームシェアから思い出す本

私が今好きな作家、角田光代さんの

「幸福な遊戯」

恋人でもなく家族でもない女性一人、男性二人の三人が始めた共同生活を描いた小説

同じく角田光代さんの

「東京ゲスト・ハウス」

アジア放浪から半年ぶりに帰った主人公は、旅先で知り合った人らと一時的な共同生活をおくる、旅の途中のゲスト・ハウスのような場所を描いた小説