構造計算書偽造問題と一級建築士試験

先週末は一級建築士の学科試験を受けに行きました。

出産前に数回受験したのですが、
子供ができてから受験するのは初めてでした。
いつの間にか一緒に受験していた友人たちも資格を取得してしまい・・・。

そろそろ子供たちも落ち着いてきたので今年はチャレンジすることにしました。
そんな年に限って、仕事は忙しく、子供は保育園を休んでばかり。
試験の当日も座薬とひえピタをダンナに預けて子供をみてもらっていました。

そんなこんなで、2週間しか勉強できなかった今年の試験は、

当然、撃沈!!

こんなかんたんな気持ちでは受からないのは分かってましたからね~。

ところが、今年の試験、過去で最も難しい(得点率の低い)試験だったそうです。

姉歯元建築士の起こした構造計算書偽造問題から始まった
「一級建築士」や「確認申請」に関する事件がこの1年多く取り上げられましたね。

それもあって、近々建築士試験の見直しもあるようです。

「一級建築士に再試験を!」という案もあったようですが
国家資格の降格は他に例の無いもので、たくさんの反対意見から案取り消しになったそうですね。

今年の一級建築士の話題の1問を紹介します。
こんな問題、私はとても良いと思います。
長くなりますが読んで答えを考えてみてくださいね。
(いろんな建築士試験の学校でもどれが答か割れているみたいです。)

法規:No.25

下記の事例は、最高裁判所の判例(平成15年11月14日判決)における建築士の設計 および 工事監理に関する損害賠償請求事件の概要の一部を示すものである。
この事件の判決において示された判断に該当しないものは次のうちどれか。

事例
B社は、建売住宅を建築し、販売する事を計画し、C社(代表者は一級建築士A)に対し、本件建物の建築確認申請に用いるための設計図書の作成を依頼するとともに、建築確認申請手続きの代行を委託した。Aは、上記設計図書を作成し、建築確認申請を行い、その際、Aは、B社の要請に応じて、建築確認申請書の工事監理者欄に一級建築士の肩書と自己の氏名を記載した。
当時、C社とB社の間には、工事監理契約が締結されておらず、将来、締結されるか否かも未定であった。
Aは、B社の従業員の中の有資格者が工事監理をするであろうと考え、B社に工事監理者の変更の届出をさせる等の措置を何ら獲ることなく、放置した。B社は、建築主兼施工者として本件建物の建築工事を行ったが、その際、建築確認を受けるために用いた設計図書を使用せず、これとは異なる施工図面に基づき、しかも、実質上、工事監理者がいない状態で建築工事を実施した。その結果、本件建物は、建築基準法が要求する構造耐力を有しないなど、重大な瑕疵のある建築物となった。
本件は、本件建物の購入者が、C社に損害賠償を求めた事例である。

1.建築士は、その業務を行うに当り、建築士法及び建築基準法の各規定による規制の実効性を失わせるような好意をしてはならない法的義務がある。

2.建築士は、故意又は過失により建築士法及び建築基準法の各規定の実効性を失わせるような行為をした場合には、その行為により損害を被った建築物の購入者に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負うものと解するのが相当である。

3.Aは、建築確認申請書に工事監理を行う旨の実態に沿わない記載をしたのであるから、自己が工事監理を行わない事が明確になった段階で、建築基準関係規定に違反した工事が行われないようにするため、本件建物の建築工事が着手されるまでに、B社に工事監理者の変更の届出をさせる等の適切な措置を執るべき法的義務がある。

4.本件工事監理に関するAの一連の行為は、法的義務に違反した違反行為と解するのが相当である。

5.C社とB社との間では本件建物の建築工事についての工事監理契約を締結していなかったので、本件建物に係る建築確認申請書にAを工事監理者とする旨の記載をしたからといって、これによりC社が不法行為に基づく損害賠償責任を負うことはない。

こんなひどいことを!と思われる方もいらっしゃるかと思いますが
建築の現場では「よくあること」なのかもしれません。
設計者の立場って、責任が重い割には、けっこう辛い立場なんですよ。

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