増築できる家、できない家

リフォーム検討

先日ご提案をさせて頂いたI様の増築・リフォーム計画は
みゆう設計室としては
当初のご希望に沿う増築に協力することができない
というとても心苦しいご提案となりました。
敷地の問題もあったのですが
それに加えて、現在のお住まいが
耐震基準が大きく改正された昭和56年以前の建物でありました。
つまり現在の法には適合しない、既存不適格建築の可能性が高い。
姉歯事件のあと
既存の建物に関しての構造の扱いが非常に厳しくなり
一時期増築をするためのプロセスがすごく難しくなりました。
2009年に既存不適格建築物の増築緩和の告示が出て
木造住宅なども一定の基準を満たせば
増築がしやすくなってきました。
しかし、こちらのお住まいは
某ハウスメーカーさんの設計、施工によるもので
申請の上でもメーカーの工法認定書があるだけなので
一般の設計者が図面だけで構造が適しているか判断は難しい。
なんとか増築できないものか
役所でも相談してみましたが
本当にこの今の建物が安全であるか否か
メーカーとも調整したうえで「調査計画書」を出して
調査の方法、内容が適切と思われる時点で
確認申請を出せるか否か判断できる、とのことなのでした。
実際に一般の設計者が申請した事例が直近であったそうなのですが
大変長いプロセスを経て、やっと申請に至ったと・・・。
この物件の増築でネックになったことは

◆昭和56年以前に建築された住宅であること。
◆ハウスメーカーによる工業化住宅であること。
◆完了検査を受けていなかったこと。

当時は確認審査のみ受けて
完了検査を受けていない物件は少なくないようです。
(今でもたまにありますね。私はもちろん経験ありませんが。)
完了検査を受けていないことで、
建築時にきちんと工事されたか検査する必要もでき、さらに条件が厳しくなりました。
お客さまには10㎡以内の増築であれば
確認申請が不要であるため増築が可能であること。
ただし、今の建物の安全性については
こちらでは保証することができないこと。
などをお伝えして
その他リフォームのご提案をさせて頂きました。
心苦しいご提案ではありましたが
お客さまからはリフォームのみ進める方向でお返事を頂きました。
あとは今の住まいのスペースの中で
より快適な暮らしができるご提案を進めて行きたいと思います。
近いうちに増築を考えていらっしゃる方で
上の3つの項目があてはまる場合は
増築の可能性が低いかもしれません。
できるか否かは、建築されたメーカーさんに問い合わせる必要があります。
今の家のつくりが良ければ
できるだけ手を加えて長く暮らしてもらいたいと思います。
増築した方が良いのか、新築した方が良いのか・・・
というご相談があるかたも、ぜひお問合せください。