「にぎやかな天地」宮本輝著 読書録

みなさんはどんなジャンルの本が好きですか?

私はやっぱり「小説」が好きです。読み始めるとのめりこめるのが良いですね。

2月に転居してから4月末まで、子供たちは転居前の近所の保育園に通っていました。それなのでその3ヶ月間は1日2回電車で往復。わずか数分の乗車ですが、その時間に少しずつ小説を読むのが良い息抜きになっていました。

私電車で本を読むのが好きなんです。

電車での読書が好き

電車の中=ある場所に定着していない。
それが理由なのかはわかりませんが、本の世界に入り込めるんですよね。

20代前半でよく海外一人旅をしていたのですが、旅先の長距離電車で読んだ小説は、その車窓とはかけ離れたもうひとつの旅をさせてくれました。

特に印象に残っているのは、宮本輝さんの「幻の光」と「花の降る午後」です。

幻の光

「幻の光」は突然原因も分からず命を絶ってしまった夫への思いを抱く女性が、冬の物悲しい風に覆われた奥能登に行き、そこで板前の後妻として生きる話。

この本を私は、とても暑くて埃っぽいインドで、広い台地を横断する長い長い電車の旅の中で読んだのです。

幻の光 (新潮文庫) 文庫

花の降る午後

「花の降る午後」は神戸を舞台にして、亡くなった夫の遺志を継ぎ、フランス料理レストランを切り盛りするとても芯の強い女性を描いた小説です。私はこの本を、とても蒸した暑さのマレーシアの鉄道の中で読みました。この本二つとも、旅先で出会ったんですよね。

なんとなく、どの本も出会うべくして出会った、そんな気がしています。


花の降る午後(上) (講談社文庫) 文庫

にぎやかな天地

その頃から宮本輝さんの本にはまってしまい、気がつけば発売されている小説は読破しておりました。よく読んでいた頃は京都で暮らしていましたが、宮本輝さんの本の舞台になるのは、今私が暮らす阪神間が多く、それ以外の場所でも、なぜか私自身思い入れのある場所が舞台となることが多いのです。

そんな私が最近出会ったのが「にぎやかな天地」

だいぶ前に出版されていたのですが、私には珍しく文庫待ちしてました。(最近の作品はほとんどハードカバーのうちに読んでいたので・・・)

読売新聞で連載されていた時期に少し読んでいたのですが、途中から読んだのもあって心に引っかからない作品でした。でも、文庫化されたので読み始めると「今これを読むことになったのかが分かった」のです。

実は、今自分の設計事務所をどう活かしていくか模索中。

すこし不安や戸惑いもあるのも事実です。

でもその不安を払拭させてくれる、まさにドンピシャなストーリーでした。ぜひぜひ、読んでみてください。

 

にぎやかな天地 (講談社文庫) 文庫